住宅の外壁工事で頻繁に使用される「ボンドブレーカー」と「バックアップ材」。
同じような役割があるため、違いを知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ボンドブレーカーとバックアップ材の違いや、最適な材料の選び方を解説します。
ボンドブレーカーとバックアップ材
ここでは、ボンドブレーカーとバック材の概要や違いについて解説します。
ボンドブレーカーとは
ボンドブレーカーは、底面とシーリング材の接着を防ぐためのアイテムです。
ボンドブレーカーには、以下のような素材が使われています。
- ポリエチレンテープ:シリコーン系のシーリング材に使用
- シリコンテープ:ポリサルファイド系やポリウレタン系のシーリング材に使用
ボンドブレーカーはテープ状で厚みがないため、シーリング材の充填深さの調整には使用できません。
バックアップ材とは
バックアップ材とは、シーリング材の充填深さを調整するためのアイテムです。バックアップ材はボンドブレーカーとしての機能もあり、シーリング材と接着しないため2面接着が容易になります。
バックアップ材はテープ状のボンドブレーカーと違い、材料に厚みがあります。施工場所に適したサイズのバックアップ材を用意することが大切です。
ボンドブレーカーとバックアップ材の違い
ボンドブレーカーとバックアップ材の大きな違いは、シーリング材の充填深さの調整にあります。
ボンドブレーカーはテープ状で薄いため、充填深さの調整はできません。基本的には、バックアップ材を充填できない、浅い目地に使用します。
バックアップ材は10mmや20mmなど厚みがあるため、シーリング材の使用量を抑えられます。
また、目地底のない場所にバックアップ材を挿入すれば、底ができてシーリング材を適切に充填可能です。
ボンドブレーカーとバックアップ材の目的は二面接着
ボンドブレーカーとバックアップ材を使用する目的は、シーリング材を2面接着にすることです。
シーリング材は以下の図のように、両端の外壁とバックアップ材(もしくは目地底)に接しています。
これらの3面がすべてシーリング材と接着することを、3面接着と呼びます。3面接着は気温による目地の伸縮に追従できないため、シーリング材の弾性を活かせず、劣化が早まってしまいます。
バックアップ材やボンドブレーカーを充填することで、シーリング材と目地底の接着を防いで2面接着となります。
バックアップ材の選び方
バックアップ材の主な材料は、「ポリエチレンフォーム」と「ゴムスポンジ(EPDM)」です。
ここでは、バックアップ材の選び方を解説します。
ポリエチレンフォーム
ポリエチレンフォームは、水泳のビート板に使用される素材で、高い止水性があります。比較的、金額も高くないため、もっとも一般的に使用されている素材です。
耐候性や断熱性・耐薬品性に優れていて、屋外で使用しても劣化を抑えられます。また、カッターナイフで簡単に切れて、現場での加工も容易です。
ゴムスポンジ(EPDM)
ゴムスポンジとは、ゴムを発泡させた素材です。EPDMのゴムスポンジは、止水性が高いだけでなく、以下の耐性を持っています。
- 耐候性
- 耐オゾン性
- 耐薬品性
- 耐熱性
上記以外にも、引き裂き強度が強く、周囲の素材が熱などで変形する場合でも、柔軟に変形して破損しません。
ポリエチレンフォームよりも多少高額になりますが、より耐久性の高いバックアップ材を求める人におすすめです。
ボンドブレーカーとバックアップ材の施工方法
ここでは、ボンドブレーカーとバックアップ材の施工方法を解説します。
①清掃
ボンドブレーカーやバックアップ材を施工する部分に汚れが付いていると、接着しづらくなり、あとから剥がれが発生します。
施工場所の汚れは、事前に清掃してキレイな状態にしてください。
古いシーリング材が残っている場合は、すべて撤去してから清掃しましょう。カッターやペンチがあると、シーリング材を剥がしやすいです。
②ボンドブレーカーかバックアップ材を充填する
清掃が完了したら、ボンドブレーカーかバックアップ材を充填します。
事前に目地の幅や深さをチェックして、最適なサイズのバックアップ材を使用しましょう。
国土交通省の「公共建築工事標準仕様書」では、住宅用バックアップ材のサイズについて、以下のように記載されています。
- 裏面に接着剤のついているものは目地幅より1mm程度小さいもの
- 接着剤のついていないものは目地幅より2mm程度大きいものとする
上記のサイズを参考にして、バックアップ材を選んでください。
③マスキングテープを貼る
目地に沿うようにマスキングテープを貼って、シーリング材の周囲への付着を防いでください。
④プライマーを塗布する
プライマーを塗布すると、コーキング材の寿命が長くなります。プライマーを塗布してから、30分以上経過してからコーキング材を充填しましょう。
⑤シーリング材を充填する
目地にコーキング材を充填する際は、目地底となるボンドブレーカーやバックアップ材と隙間ができないようにしてください。
シーリング材が途切れないように充填して、壁材よりも厚くなるようにする状態が最適です。
⑥ならしパッカーで仕上げる
シーリング材の充填が完了したら、ならしパッカーやヘラを使い、壁材の形状に合わせて仕上げます。仕上げが完了したら、マスキングテープを剥がしてください。マスキングテープを剥がし忘れると、シーリング材が硬化して、キレイに剥がせなくなります。
バックアップ材の劣化を判断する方法
シーリング材やバックアップ材の耐用年数は、5~10年ほどとされています。しかし、劣化具合は使用環境により異なるため、実際に見て判断することが大切です。シーリング材やバックアップ材の劣化を判断するポイントは以下の通りです。
- 引っ張るとシーリング材が取れる
- ヒビが入っている
- シワができている
- シーリング材が痩せて隙間ができている
シーリング材やバックアップ材の貼り換えは、プロに依頼しなければならないため、安くない費用が発生します。
しかし、シーリング材の劣化を放置すると、外壁のひび割れや雨水の侵入などにより、さらに高額な費用が必要となります。
シーリング材やバックアップ材の劣化を発見したら、早めに専門家に相談しましょう。
まとめ
ボンドブレーカーとは、目地底とシーリング材の接着を防ぐためのアイテムです。シーリング材が3面接着になると劣化が早まるため、2面接着をするために使用します。
バックアップ材も同じような役割がありますが、厚みがあるため、シーリング材の深さ調節にも使用可能です。
バックアップ材の素材は、主に「ポリエチレンフォーム」と「ゴムスポンジ(EPDM)」があります。
どちらも耐候性に優れていてバックアップ材に適した素材ですが、ゴムスポンジはより劣化が少ないです。
現場ごとに適したサイズや素材のバックアップ材を選定してください。
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