橋の寿命を縮める「水漏れ」を防ぐために、すき間を埋めるゴムなどの材料選びはとても重要です。

それぞれの材料が持つ強みや特徴を知り、橋の環境に合ったものを選ぶことが確実な水対策になります。

この記事では、水漏れトラブルを防ぐための材料の特徴と、失敗しない選び方をわかりやすく解説します。

この記事はスポンジ加工メーカーとして、60年以上の歴史がある富士ゴム産業が執筆しています。

監修:技術責任者 牧野

橋梁の伸縮装置(ジョイント)における止水材の重要性

橋梁は気温の変化や地震、車両の重さによって、目に見えない伸縮や変位を常に繰り返しています。

伸縮装置の役割

  • 橋の継ぎ目にある装置で、部材の動きをスムーズに吸収します。
  • 道路の平坦性を保ち、車や歩行者が安全に通行できるようにします。

止水材の重要性

  • 伸縮装置の隙間から、内部へ水が侵入するのを防ぐ部材です。
  • 内部の劣化を防ぐことで、橋全体の寿命を左右する重要な役割を担います。

伸縮装置と止水材は、私たちが普段何気なく渡っている橋の安全と長寿命化を床下で支えています。

遊間からの漏水を防ぎ下部構造の腐食を防止する

橋の隙間(遊間)から水が漏れると、下にある重要な部品がサビてしまいます。

特に橋を支える「支承(ししょう)」という金属がサビると、橋がスムーズに動かなくなります。

過去の調査では、漏水によるサビの被害が全体の11%にも達していました。

隙間に「止水材」を入れて水の侵入を防ぐことが、橋の寿命をのばし、将来の修理費用を抑えるための一番の対策になります。

劣化や破損が引き起こすコンクリート片の剥落リスク

水漏れを放置するとコンクリートの奥にある鉄筋まで水が届き、錆びて大きく膨らみます。

この膨らむ力が原因でコンクリートにひびが入ってしまうことがあります。

最悪の場合はコンクリートの塊が崩れて下に落ちてしまいます。

道路や線路を通る人に怪我をさせる危険があるため、水漏れは最初の段階で防ぐことが何よりも大切です。

非排水型ジョイントへの移行とメンテナンスの必要性

構造物を水から守るために、水を下に落とさない「非排水型ジョイント」への交換が進んでいます。

しかし、この継ぎ目に使うゴムやスポンジは、車のタイヤや雪の重みでとても傷みやすいです。

平均して約6年で壊れたり外れたりするというデータもあります。

継ぎ目のトラブルの約9割が水漏れから始まっているため、定期的なメンテナンスが必要です。

伸縮装置用止水材を選ぶ際の3つのポイント

季節や荷重による伸縮運動に耐える変位追従性

橋は夏の暑さで伸び、冬の寒さで縮みます。

さらに、車が通る重みで斜めや横など、さまざまな方向へ複雑に動いています。

そのため、隙間を埋める止水材には、この毎日の激しい動きにスムーズについていく力が必要です。

引っ張られても千切れず、押し潰されても元の形にしっかりと戻る「優れた伸縮性と復元力」が求められます。

紫外線や塩害に耐える耐候性と耐薬品性

外で使う止水材は、太陽の光(紫外線)を毎日浴び続けるため、ボロボロになりやすい環境にあります。

さらに、冬に道路の凍結を防ぐためにまく「融雪剤」の塩分を含んだ水にもさらされます。

そのため、紫外線に強くてひび割れしにくい「耐候性」と、塩分に強い「耐薬品性」をあわせ持ち、何十年も弾力を保てる素材を選ぶことが重要です。

新設や補修の現場規制に対応できる施工性

道路の工事では、通行止めなどの交通規制の時間を短くすることが強く求められます。

そこで、約60分という短時間で固まってすぐに車を通せる、乾きの早い材料が人気です。

また、道路の上からではなく「橋の下」から押し込んで接着できる方法を選ぶのもおすすめです。

こうした施工性の良い材料を使えば、工事による大渋滞を防ぐことができます。

【材質・構造別】代表的な伸縮装置用止水材の種類と特徴

高い耐候性を持つEPDM系

EPDMゴムは、太陽の光や熱、オゾンに非常に強い素材です。

外で長い間使ってもひび割れしにくく、カチカチに硬くなることもほとんどありません。

さらに、マイナス40度のような極端な寒さでも柔らかさを保てます。

スポンジ状にしたものは少しの力で押し潰すことができ、約20%以上縮めることで水を通さない完璧な壁を作ることができます。

複雑な変形目地にも密着する発泡ウレタン

発泡ウレタンは軽くて柔らかく、潰されても元に戻る力が強いのが特徴です。

ウレタンシートと組み合わせた乾式止水材は、橋の隙間に押し込むことで複雑な動きに追従します。

また、ひび割れの中に液体ウレタンを注入し、水と反応させてゴムのように固める補修方法もあります。

なお、お風呂のスポンジのような普通のウレタンは水を通すため使えません。

バックアップ材スポンジホームセンターでは、橋梁のバックアップ材をご用意しています。

現場での作業時間を短縮できる成形伸縮目地

成形伸縮目地は、あらかじめ工場で作られた目地のパーツです。

かつては重いモルタルで固定していましたが、現在はピンやプレートを用いる「乾式」が主流です。

乾いた方法なら乾燥を待つ必要がなく、高さの調整もカッターナイフで簡単に切るだけで終わります。

これにより、現場の作業時間を劇的に短縮することができます。

止水材のトラブル事例と失敗しないサイズ・形状の選定方法

遊間幅に対する圧縮率や伸縮量の計算ミス

よくある失敗は橋の動きを小さく見積もることで、止水材の破損や道路への飛び出しを招きます。

これを防ぐには、温度変化やコンクリートの乾燥収縮、クリープによる動きを正しく合算して計算します。

設計時は、これらの合計に施工時の不確実性を考慮した安全余裕量として通常10mmを加算します。

最も隙間が開いたときでも、防水に必要な「約45%以上の圧縮」をキープできる厚みを選びましょう。

施工不良を原因とする止水材の破断や脱落を防ぐ対策

底にも接着する「三面接着」は破損の原因となるため、左右のみで接着させる必要があります。

そのため、底面には接着剤とくっつかないポリエチレン製のバックアップ材を挿入します。

水を通しやすいスポンジの代用は避け、必ず水に強い「独立気泡」の製品を選びましょう。

既設ジョイントのリフレッシュ工事における注意点

古い止水材を直す工事で一番大切なのは、新しい材料を塗る前にサビや汚れを完全に削り落とすことです。

接着面に古いゴミが残っていると、すぐに剥がれて水が漏れてしまいます。

止水工事を成功させるには、入念な下地処理と各工程を丁寧に行うことが重要なコツです。

下地処理の工程

  • まずは隙間に残っている古いゴムをきれいに抜き取ります。
  • ブラスト処理によって、内部に発生したサビを徹底的に落とします。
  • サビ止めとプライマー(下塗り材)を塗り、密着性を高めます。

仕上げの工程

  • 奥にバックアップ材を入れて、シール材を入れる土台を作ります。
  • 新しいシール材を隙間に詰め、ヘラで平らに整えて仕上げます。

まとめ:確実な止水材選定と施工で、橋梁の長寿命化を実現

道路を長持ちさせるためには、橋の隙間からの雨漏りを防ぐことがとても重要です。

単に「柔らかいから」「安いから」という理由だけで選ぶのではなく、水を通さない仕組みや、紫外線に強い素材(EPDMなど)を正しく見極める必要があります。

正しい知識でぴったりの止水材を選び、丁寧な工事を行うことで、大切な橋をずっと安全に長持ちさせていきましょう。

バックアップ材スポンジホームセンターでは、さまざまな材料のバックアップ材をご用意しています。
ご希望のサイズでの製作も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。